Forensic Investigation | 20.04.21 | minute(s) reading time
AviaTor: ZiuZの役割

Jos Flury

Executive VP ZiuZ Forensic

米国においてプロバイダーは、自社のプラットフォーム上に存在する児童の性的虐待の画像や動画、文章に気付いた場合、全米行方不明・搾取児童センター(NCMEC)に報告する法的義務を負っています。 その要件に準拠するために、ほとんどのプロバイダーはドメインをスキャンして、児童の性的虐待資料(CSAM)を検出。 NCMECは、レポートされたユーザーが所在する国の法執行機関に連絡を取ります。

 

近年、オンライン上にあるCSAMに関するNCMECによるレポート数が急速に増加し、法執行機関の処理が追い付いていません。 膨大な量のレポートがあり、しかも処理に多大な労力を要するため、確認がごく表面的であったり、さらには全く確認されないような場合が生じているのです。 そのため、児童虐待に関する緊急事態が対処されないおそれもあります。

 

2019年には、7000万点もの画像と動画を含む約1700万件のレポートが、調査のために法執行機関に転送されました。 レポートの件数は2018年よりも少なかったものの、レポートに含まれる画像や動画の数は大幅に増加したのです。これは、1回のレポートに複数のファイルを含めるプロバイダーが増加したことによります。 2020年の数字はまだわかっていません。 しかし、コロナ禍によりオンライン上のCSAMがさらに増加したことを示す指標があります。

 

2018年の初めに、ZiuZとそのパートナー(オランダおよびベルギー警察、INHOPEWeb-IQDFKI)は、法執行機関が膨大な数のレポートを効率的かつ効果的な方法で処理することを容易にする「AviaTor」システムを構築するという野心的なプロジェクトに着手しました。 同プロジェクトで、ZiuZはビジュアルインテリジェンスに注力し、Web-IQはターゲットを絞ったオンライン調査を行いました。 これらの2つの要素を組み合わせることで、レポートを処理する際の調査員のインテリジェンスポジションが大幅に向上するとともに、レポートに優先順位を付けて、最も重要なレポートが最初に処理されるようにする手段を得られるようになるのです。

 

2020年初頭までに、DFKIによる科学的ガイダンスの下、ZiuZとWeb-IQが協力しながら、新バージョンのAviaTorを3か月に1回のペースでリリースしてきました。現在はリリース5が公開されています。 画像と動画の両方の高度なマッチングとOSINTの収集に加え、このバージョンにはNCMECのWebAPIを介したレポートのスケジュール済インポート、未知のCSAMを検出するAI分類ツール、INTERPOLのICSEハッシュリストとのマッチング、そして高度な接触リスク評価が含まれています。

 

オランダおよびベルギー警察以外に、追加の法執行機関9機関がプロジェクトに参加しており、AviaTorを積極的にテスト・使用しています。 今後数か月でさらに多くの機関が参加する見込みです。

法執行機関に無料提供されるAviaTorの使用をご希望の場合は、メールをいただけましたら当社から連絡をさせていただきます。

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